戦略ビジョン

データを起点にした
ドコモのリテールメディア戦略で実現する
新たな顧客体験

  • 活用プロダクト:ARUTANA
NTTドコモマーケティングイノベーション部の松本さん(右)とDearOne ビジネス推進部の川村さん(左)。

企業のマーケティング活動を強力に支援するNTTドコモの様々なソリューションの特長や、その活用事例を紹介する連載。第1回は、グループで体制強化を進めるリテールメディア領域の取り組みを紹介する。

ドコモが掲げるリテールメディア構想とは、店舗内のメディア設置にとどまらず、ID-POSデータを起点に接続された街ナカ・家ナカなどの店舗外を含め、コミュニケーションチャネルを統合してチェーンストアやメーカーのDX、売上最大化を目指すもの。約1億200万(*1)の会員基盤データを活用した、メーカーや流通小売企業向けの「ドコモリテールDXプログラム」発表から1年。ドコモのリテールメディア戦略が少しずつ見えつつある。

(*1)2024年9月末時点

ドコモグループで取り組むリテールメディア戦略

リテールメディア広告の市場予測(CARTA HOLDINGS推計)によると、リアル店舗周りのみで2027年に1390億円。2021年からの年平均成長率で58%と急成長が見込まれている。さらにECサイトに送客するネット広告領域も見逃せない。NTTドコモ マーケティングイノベーション部でリテールメディアのプラットフォーム構築に携わる松本準梧氏は、「ネット広告市場に占めるリテールメディアの割合は、米国に比べて日本はまだまだ低い。逆に見ると、大きなポテンシャルがあるといえます」と強調する。

リテールメディア戦略について語る松本さん
NTTドコモ マーケティングイノベーション部 松本準梧氏

リテールメディアについては、カバーする領域やメディアについて様々な解釈があるが、ドコモはより大きなスコープを描く。多くの生活者データを持つインテージと資本業務提携を結んだことで、その動きを加速させている。

「当社はリテールメディアを一方的なお客様への発信ツールではなく、お客様とのコミュニケーションツールだと考えており、ID-POSデータを起点に接続された街ナカ・家ナカなどの店舗外を含めたすべてのコミュニケーションメディアと定義しています。コネクテッドTVをはじめとするマスメディアとのデータ連携も行い、フルファネルでのコミュニケーションを図り、エンドユーザーの生活を豊かにするとともに、チェーンストアやメーカーのDX、売上最大化や新たな収益源の創出を支援します」(松本氏)

事業を推進していくのは、NTTドコモのマーケティングイノベーション部を中心に、インテージ、D2C、Live Board、Prism Partner、DearOne、DATA ONEというドコモグループの6社だ。

具体的には、同社が保有する契約者情報やオンライン・オフラインにおける行動データ、位置情報やチェーンストアから連携されるID-POSデータ、そのほか各種マスメディアとの接触データを、約1億を超える会員データ基盤へつなぎ込み、エンドユーザーの属性や嗜好、行動を把握する。

例えば、「店内回遊」「商品選択」「決済」を行うフェーズでは、チェーンストアのアプリや店頭サイネージのほか、ドコモのd払い・dポイントクラブのアプリによる訴求を、店舗外ではLiveBoardが担うDOOH(デジタルOOH)による訴求、家ナカではドコモグループで扱う各種デジタル広告メディアでメッセージを伝える。これらをデータや生成AIの活用で横断的に展開するのが特徴といえる。

ドコモが描くリテールメディア構想のイメージ図
オンラインとオフラインを横断し、生活者の行動をデータドリブンでつないでいくことで、新たなマーケティング施策の機会を提供していくのがドコモが描くリテールメディア構想だ

リテール公式アプリ群に横断で広告配信可能なARUTANA

「レジに最も近いリテールメディア」として、ドコモのリテールメディア構想の中でも重要な役割を果たすプラットフォームのひとつが「ARUTANA(アルタナ)」だ。リテール事業者40社にアプリサービスを提供するドコモグループのDearOne(ディアワン)が運営している。

同社ビジネス推進部ゼネラルマネジャーの川村兼一郎氏は「ARUTANAは、MAU約3300万人、合計約4万7000店舗(*1)のリテール公式アプリ群(33アプリ(*1))に横断で広告配信可能な、国内初のアドプラットフォーム」と説明する。

(*1)2024年10月11日時点

ARUTANAについて語る川村さん
DearOne ビジネス推進部 ゼネラルマネジャー 川村兼一郎 氏

開発の背景には、日本の小売流通におけるメディアDX化の課題がある。米国ではウォルマートなどの大手チェーンストアが多くの顧客基盤を持ち、リーチが担保されている環境にあるが、多くの小売事業者と顧客接点が存在する日本ではそれが分散している状況にあった。それらを束ねていく取り組みは、多くの小売事業者との取引基盤を持つDearOneだから実現し得たともいえる。

「横断的にリテールのアプリを束ねてアドネットワーク化し、ドコモのアセットを活用するようにできれば、メーカーはチェーンストアのロイヤルカスタマーに購買直前にコミュニケーションチャネルを持つことができ、ユーザーはいつも自分が使っているアプリにお得な情報がいつも届く構造をつくれると考えました」(川村氏)

流通・生活者・メーカーの「三方良し」を目指す

ARUTANAリリースから1年。ドコモの松本氏は「今までリテール事業者単独ではうまくいかなかったリテールメディアがネットワーク化されることにより、より強力なリテールメディアの開発が実現し、収益が還元されるようになりました」と話す。小売各社にとってのメリットも見逃せない。単独の取り組みでは成果が出にくいリテールメディア領域で、運用にかかる負荷を最小化しつつ広告収入という新たな収益源を確保できることもポイントだ。

ARUTANA 日本最大のリテール公式アプリ数の広告ネットワークを構築(*1) イオンリテール各社さま、ウエルシアさまなど 33アプリ、約48,000店舗、約3,300万MAU(*2)でサービス拡大中
(*1)連携するリテール公式アプリ数(第三者の広告配信面を有するものに限る)の比較 2024年10月末時点
(*2)2024年10月末時点
様々なチェーンストアのアプリに横断して広告出稿ができる。国内最大級のリテール公式アプリのネットワークを構築している

ARUTANAで配信、アプリの中でクリックして、ID-POSデータを連携すると購買に至ったか確認ができる。さらにドコモIDと連携すると、より購買につながるユーザーを分析し、配信することが可能だ。

「ARUTANAの特徴に、リーチ層、タイミング、視認性が挙げられます。リーチ層はリテールのロイヤルカスタマーかつおトクへの関心が高い層であるので、キャンペーンの相性がよい。また店内起動が75%と購買に近いタイミングでのアプローチが可能なため高いコンバージョンが見込めます。ユーザー自らアプリを立ち上げた際の広告を確認するため視認性が高い点に優位性を持っています。そのため食品系のLINE応募キャンペーンではクリエイティブと訴求内容がマッチし、CTR7.78%という高い結果が出ました」(川村氏)

今後、店頭における認知から購買促進を配信後の行動軸でセグメントしナーチャリングしていくことも検討しているという。ドコモアセットをフル活用し、さらなる収益効果を拡大することにより、「チェーンストア(新たな収益創出)×生活者(最適な購買体験)×メーカー(新たなマーケティング機会の創出)の『三方良し』を目指したい」(同)という。

ドコモはこうしたリテールメディア戦略に基づき、販促と広告の統合を進め、あらゆる関係者をパートナーとし、マーケティングの高度化を実現していく仕組みを構築していく考えだ。

ドコモが推進するリテールメディア
  • ドコモのリテールメディア戦略とは、店舗内メディアにとどまらず、同社が持つデータとID-POSデータ、インテージが持つデータなどを起点に接続された街ナカ・家ナカを含めたあらゆるメディアを通じて、最適な顧客体験を提供することを目指している
  • リテールメディア事業の基盤となる顧客データは、生活者の購買を取り巻く行動をフルファネルで、シングルIDで捉えていることが特長
  • ARUTANAは、チェーンストアの公式アプリに横断的にマーケティング施策を実行できるアドネットワークとして国内最大級の規模を持つ
  • リテールメディア事業の推進によって、チェーンストアにとっては新たな収益源の創出、メーカーにとっては新たなマーケティング機会の創出、生活者にとっては最適な購買体験という、文字通り「三方よし」の実現を目指している

(公開:2024年11月)

この事例で活用したソリューション

  • ARUTANA

    複数の業態のリテール(小売業)アプリを利用する約48,000店舗(*1)、約3,300万人のアクティブユーザーに横断的に広告を配信できるアドプラットフォームです。リテールアプリのユーザーは購買に近いロイヤルカスタマーであることや、ユーザーが能動的にアプリを開くタイミングでバナーが表示されるために視認性が高いといった特徴があります。

    (*1)2024年10末月時点

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