高齢者見守りサービスとは?6つの種類と選ぶポイントを解説
コラム
高齢の親と離れて暮らしていると「親に万が一のことがあっても、すぐに気づけるか不安」と感じることがあるかもしれません。連絡を取れない時間帯に、元気で過ごせているか気になることもあるでしょう。
そのような不安を払しょくするためには、高齢者見守りサービスが役立ちます。これらのサービスは大きく6種類に分けられ、それぞれの状況や親本人の希望に合わせて選ぶことが可能です。
この記事では、高齢者見守りサービスの種類や、選ぶ際のポイントについて解説します。親の安全を守り、あんしんした生活をサポートできるサービスをお探しの方は、ぜひご覧ください。
高齢者見守りサービスとは

高齢者見守りサービスとは、高齢者が生活するなかで異常がないかを確認し、早期に対応できるようサポートするサービスです。スタッフが家族の代わりに確認したり、カメラ・センサーなどを通じて状況をチェックしたりして、高齢者の安全を見守ります。
こうしたサービスは、下記のような高齢者の日常生活に潜むさまざまなリスクへの備えとして役立ちます。
- 転倒や転落による、怪我・死亡のリスク
- 誤嚥・窒息・持病などによる健康上のリスク
- 地震・火災などのリスク
- 強盗や詐欺などの被害に遭うリスク
高齢者見守りサービスを導入しておけば、異常が生じた場合も早く感知できる可能性が高まります。遠方に住んでいる場合や、仕事などですぐに駆けつけられない場合でも、医療機関や消防・警察などへ必要な対応を速やかに依頼しやすくなるでしょう。
高齢者見守りサービスの主な種類

高齢者見守りサービスは、主に6つの種類があります。各サービスにはそれぞれ特徴があり、向いている方も異なるため、内容を把握して最適なものを選ぶことが大切です。
訪問型見守りサービス
メリット | ・対面でのコミュニケーションを通じて、顔色や表情を確認できる ・一人暮らしの高齢者が抱える孤独感を軽減できる |
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デメリット | ・24時間体制での見守りはできない ・緊急時の早急な対応は難しい ・見守られる側の本人は、訪問予定時間に家にいる必要がある |
訪問型見守りサービスとは、スタッフが定期的に高齢者の家を訪問し、生活状況や安否の確認をするサービスをいいます。サービスを提供するのは、主に自治体、郵便局、電気・ガス・水道事業者、民生委員、ボランティア団体などです。
訪問型見守りサービスのなかには、食事の配達時に安否確認をするものや、ごみ収集時に声がけや安否確認をするものもあります。サービス提供元により内容はさまざまなため、地域で提供されているサービスをよく確認しておきましょう。
カメラ型見守りサービス
メリット | ・家族がリアルタイムで安否確認できる ・マイクやスピーカーが搭載されているカメラなら、会話を通じてコミュニケーションを取れる ・リアルタイムの映像を確認できるため、防犯性が期待できる(異変に気づいた時点で通報などの対処が可能) |
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デメリット | ・常に見られていると感じることで、見守られる側に精神的な負担がかかる可能性がある |
カメラ型見守りサービスは、高齢者の自宅に設置したカメラを介して、遠隔地から状況確認ができるサービスです。介護関連用品を扱う企業や、通信機器事業者が提供しています。リアルタイムで親の様子がわかるため、特に在宅時間が長い方の見守りに適します。
センサー型見守りサービス
メリット | ・プライバシーに配慮しつつ見守りができる ・日常生活を送るなかで、異変がないことを自然に共有できる |
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デメリット | ・高齢者の様子を直接確認できない |
センサー型見守りサービスは、住まいに設置したセンサーを通じて異常を感知し、その情報を通知する見守りサービスです。主に、家電メーカーやセキュリティ会社、運送会社、ガス会社などがサービスを提供しています。
このサービスには、トイレ・浴室・居間の動線上に設置するタイプのほか、冷蔵庫・扉・電球と連動させて利用状況を通知するタイプもあります。特に、在宅時間が長い方の見守りに適したサービスです。
電話・メール型見守りサービス
メリット | ・訪問への対応がいらない ・監視されている感じがなく、精神的な負担が少ない ・専用機器の導入が不要で、比較的スムーズに利用をはじめられる |
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デメリット | ・24時間体制での見守りはできない ・健康状態は主観的な申告によるため、客観的な判断ができない ・電話型見守りサービスの場合、聴力が低下している方には不向き |
電話・メール型の見守りサービスとは、スタッフが定期的に連絡したり、自動電話・自動配信メールを用いたりして安否確認をするサービスです。主に、NPO法人やシニア向け商材の提供事業者が提供しています。
特に、電話や通信機器の扱いに慣れている方の見守りに適しています。
また、テレビ電話を用いる安否確認サービスもあります。安否確認方法は事業者により異なるため、見守られる側の本人と一緒に、ストレスの少ないサービスを見つけましょう。
緊急時通報型見守りサービス
メリット | ・体調不良や事故などのトラブル発生時に、ボタン1つでスタッフが駆けつけてくれる ・健康サポートや、火災対策、空き巣対策、生活サポートなど、充実したオプションが利用できる |
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デメリット | ・通報用設備の設置や、通信インフラの整備が必要 ・意識を失ったり身動きが取れなかったりすると通報できず、異常の発覚・対応が遅れる |
緊急通報型見守りサービスは、高齢者自身が見守り機器の緊急ボタンを押すか、センサーの検知量が少ない場合に、コールセンターへの通報が行われるサービスです。主に警備会社が提供しています。特に大手企業が実施していることが多く、オプションも充実している点が特徴です。
このサービスは、健康・生活の異常発見だけでなく、防犯面での取組みとしても役立ちます。生活するうえで生じるさまざまなトラブルに対応してもらいたい場合、特に適した見守りサービスといえます。
アプリ型見守りサービス
メリット | ・アプリ操作の有無や充電状況など、スマートフォンの動作でスムーズに安否確認ができる |
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デメリット | ・見守られる側に、アプリに対応したスマートフォンが必要 ・スマートフォンを使い慣れていないと、利用のハードルが高い ・外出時にもスマートフォンを持ち歩いてもらう必要がある |
アプリ型見守りサービスとは、スマートフォンやタブレットにダウンロードしたアプリを通じて、高齢者の安否や状態を確認するサービスです。見守られる側の方がスマートフォンなどを持っている場合に、有力な選択肢となるでしょう。
アプリ型の見守り方法としては、指定時間に鳴るアラームを停止させて無事を通知したり、スマートフォンを一定期間使っていない場合に異常を通知したりします。
アプリ型見守りサービスを導入する場合は、スマートフォンの利用状況や通信環境に応じたアプリを選ぶ必要があります。また、アプリ操作を含めたスマートフォンの利用が前提となるため、使い慣れている方向けの見守りサービスといえるでしょう。
高齢者見守りサービスを選ぶポイント

複数ある選択肢から最適な見守りサービスを見つけるためには、5つの観点で比較するとよいでしょう。見守り方法、目的・状況、費用、ライフスタイル、操作性です。それぞれ確認しておきましょう。
見守り方法で選ぶ
見守りサービス利用時の見守り方法は、主に、下記の3種類があります。
- 自動で報告が済むタイプ……カメラ型見守りサービス、センサー型見守りサービス
- 自身で報告するタイプ……電話・メール型見守りサービス、緊急時通報型見守りサービス、アプリ型見守りサービス
- 対面コミュニケーションを要するタイプ……訪問型見守りサービス
たとえば、「新しくやることができると、忘れてしまう」「頻繁にコミュニケーションを取るのは疲れる」という方の場合は、自動で報告が済むタイプが適しているでしょう。
また、生活習慣を変えずに過ごしたい方、多少のタスクなら続けられる方、異常があるときだけわかればよい方には、自身で報告するタイプが向いています。
他方で、対話を通じてコミュニケーションを取りたい方や、見守りの頻度が高くなくても問題ない方は、対面コミュニケーションがあるタイプも選択肢に入るでしょう。
このように、見守られる側本人の負担が少ない、続けやすい見守りサービスを選ぶことが大切です。
目的・状況に応じて選ぶ
高齢者見守りサービスを検討するときには、導入する目的も明確にしておく必要があります。「何に対して不安があり、どのようなサポートが必要だと感じるのか」をはっきりさせておくと、適したサービスを絞り込みやすくなるでしょう。
たとえば、健康上の不安がある場合は、長時間・高頻度で見守れるサービスが適します。カメラ型やセンサー型など、日々の様子がわかるサービスが向いているかもしれません。
一方、本人が元気な場合は、見守り頻度が少なくても問題ない可能性があります。加えて、話すのが好きな方なら、訪問型見守りサービスが適しているでしょう。
このように「24時間の見守りか定期的な確認か」「顔色・表情も含めて確認すべきか」「通知のみでよいか」など、状況に応じたサービスを選ぶことが重要です。目的と状況を踏まえて、見守られる側の本人も交えながら、適した見守りサービスを調べましょう。
費用で選ぶ
見守りサービスの導入後は、長期的に利用することが想定されます。原則として介護保険が適用されないため、実費負担を考慮して、長期的に無理なく続けられるかを確認して選びましょう。
また、高齢者見守りサービスのうち、緊急時に早急な対応がされるタイプや、24時間体制の人的サポートつきのタイプ、接触頻度の高いタイプは、費用が高くなる傾向にあります。さらに、機器を設置するタイプも、工事費用がかかり、初期費用がかさみがちであるため、慎重な検討が必要です。
利用したい機能と費用のバランスについて確認し、必要に応じて、下記のようなサービスも含めて検討しましょう。
- 自治体やボランティア団体が運用する、低価格の見守りサービス
- 補助金・助成金を受け取れるサービス
ライフスタイルや本人の意向に沿うものを選ぶ
高齢者見守りサービスを選ぶときには、見守られる側本人のライフスタイルや気持ちも非常に重要です。
たとえば、旅行が趣味の方やご友人とよく出かける方の場合、在宅を前提とするタイプの見守りサービスは、適切に機能しなくなってしまうでしょう。また、決まった時間に在宅している必要がある訪問型見守りサービスも、ストレスを感じさせる可能性があります。
あるいは、料理が趣味の方に対して食事つきの訪問型見守りサービスを選んだ場合、自ら料理する楽しみを奪ってしまいかねません。
このように、見守りサービスは見守られる側本人のライフスタイルを尊重し、その意向を優先させることが大切です。プライバシーへの配慮などの要素について、見守られる側・見守る側双方でよく話し合い、適した見守りサービスにしましょう。
操作性で選ぶ
機械・アプリを操作する必要がある見守りサービスでは、操作性も重要です。見守られる側本人がスマートフォン・電子機器の操作に慣れているかどうかも影響しますが、基本的には、シンプルで直感的に操作できるものを選ぶとよいでしょう。
実際に操作する方にサービスを試してもらい、操作方法を理解できるか、緊急時も迷わず扱えそうかなどを判断してもらいましょう。
暮らしをやさしくつなぐ「ちかく」でちょうどいい見守りを

ドコモでは、高齢者見守りサービスとして「ちかく」を提供しています。一人ひとりの悩みに寄り添い、見守る側のお子さまにはあんしんを、見守られる側の親には話せる楽しみを感じていただけます。
家族間のコミュニケーションが円滑になる高齢者見守りサービス「ちかく」について、機能をご紹介します。
見守る側|見守り機能
見守られる側に設置された「ちかく」本体と、見守る側でインストールしたアプリを通じ、在室履歴を確認できます。
在室状況はホーム画面に表示される窓の灯りで表されるため、映像がそのまま共有されるタイプと比べて、プライバシーの保護が手厚くなっています。見守られる側にとっても、監視されている感じを受けにくいよう配慮された設計です。
さらに、無料オプションの「あんしんモード」を活用することで、生活リズムを把握できます。たとえば、起床が確認されなければ通知を受け取れて、異常があれば早期に対処できます。
異常があると感じたときには、見守り側からテレビ電話をつなげて、部屋の状況確認も可能です。緊急時も、会話を試みたり必要な支援を依頼したりしやすくなるでしょう。
「ちかく」はカメラ型見守りサービスのように状況確認が可能ですが、24時間体制で映像を提供しないため、プライバシーを保ちながら、ちょうどいい距離感で見守りが行えます。
見守られる側|テレビ電話機能
「ちかく」は、HDMI端子を接続できるテレビがあれば利用でき、設置にあたっての工事やインフラ整備は不要です。そのため、スムーズかつ低コストで使いはじめられます。
また、「ちかく」はテレビ電話機能も搭載した高齢者見守りサービス用の製品です。スマートフォンとは異なり大画面で通話できるため、実際に会っているような感覚で会話を楽しめます。
グループ通話は、最大4画面まで対応可能です。普段なかなか会えない、遠方に住むお子さまやお孫さまと顔を見て楽しく会話できます。
「ちかく」の費用
「ちかく」を利用する際には、端末費用3万3,000円と、サービス利用料月額1,980円がかかります。利用開始に際して工事費用は不要なため、コストを抑えながらの利用が可能です。
さらに、「ちかく」の導入に際して、東京都立川市、兵庫県たつの市、徳島県東みよし町では助成金・補助金を交付しています。(※2025年2月時点)各市・町の補助金額は、下記のとおりです。
- 東京都立川市……機器購入費用について、限度額8,000円を補助
- 兵庫県たつの市……機器購入費用について、上限3万円を補助
- 徳島県東みよし町……購入費用×2分の1(100円未満切り捨て、上限1万6,000円)
出典:全国初!“デジタル近居”サービス「ちかく」に兵庫県たつの市が購入費用3万円を補助
出典:“デジタル近居”サービス「ちかく」に東京都立川市が購入費用を一部助成
出典:“デジタル近居”サービス「ちかく」に徳島県東みよし町が購入費用を一部補助
まとめ: 高齢者見守りサービスであんしんの暮らしを実現
高齢者見守りサービスには、訪問型見守りサービスやカメラ型見守りサービスなど6種類があります。各サービスの特徴や利用に向く方は異なるため、それぞれの内容を把握し、適した見守りサービスを選ぶことが大切です。
見守り方法や導入の目的・状況に応じて、ストレスの少なく、あんしんして利用できる見守りサービスを選びましょう。