一人暮らしをしている親が心配!考えられるリスクや同居が難しい場合の対策は?
コラム
「親の一人暮らしはどのようなリスクがあるのかを知りたい」「一人暮らしを支えてくれるサービスを知りたい」という方もいるでしょう。
高齢者の一人暮らしは増加傾向であり、身近な問題です。起こり得るリスクを理解し対策を講じることで、リスクを減らしながら一人暮らしができるようになります。
本記事では、高齢者の一人暮らしの現状とその背景、リスクと対策を中心に解説します。
高齢者の4~5人に1人は一人暮らしをしている

はじめに、高齢者の一人暮らしの現状を確認しましょう。
内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者において、男性の5人に1人、女性の4人に1人が一人暮らしをしています。1980年以降、一人暮らしの高齢者の割合は増加しており、今後も増加が続くとみられます。
高齢の親の一人暮らしは、誰もが抱える可能性のある心配事といえるでしょう。
高齢者が一人暮らしをする理由は?

高齢者が一人暮らしをする背景には、一人暮らしをせざるを得ないケースと、あえて一人暮らしを選択しているケースがあります。どのような理由で一人暮らしが急増しているのか具体的に解説します。
頼れる人がいない
主な理由の一つに、頼れる配偶者やお子さまがおらず、一人暮らしをせざるを得ないケースがあります。
近年、未婚率が上昇しており、配偶者に頼れない方も少なくありません。参考に、70歳以上の男女別の未婚率は次のとおりです。
1985年 | 2020年 | |
---|---|---|
70歳 | 男性:1.0% 女性:1.9% |
男性:10.0% 女性:5.2% |
75歳 | 男性:0.8% 女性:1.4% |
男性:5.4% 女性:4.4% |
80歳 | 男性:0.7% 女性:1.0% |
男性:3.0% 女性:3.7% |
85歳以上 | 男性:0.7% 女性:0.8% |
男性:1.9% 女性:3.6% |
上記のとおり、約35年間で未婚率が上昇していることがわかります。
また、配偶者との死別やお子さまの独立などで、頼れる家族がいなくなることもあるでしょう。そのため、本人は頼りたくても、頼れない現状が考えられます。
同居に抵抗がある
誰かと暮らすことにストレスを感じる、住み慣れた場所を離れたくないなどで、あえて一人暮らしを選択することもあります。
その他にも、家族が仕事の都合などで同居できないこともあるでしょう。この場合、親は同居を望んでいても一人暮らしせざるを得ない状況となります。
一人暮らしに不自由を感じていない
高齢者が、施設入居や家族との同居に、必要性を感じていないケースです。
内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、高齢者の約7割が「経済的な暮らし向きについて心配ない」と回答しています。
また、同白書によると、社会活動に参加していない高齢者であっても約6割が生きがいを感じており、社会活動に参加している高齢者に至っては約8割が生きがいを感じていると答えています。
このように経済的に安定し、生きがいを持つ高齢者が多いため、同居の必要性を感じていない可能性があります。
高齢の親が一人暮らしをするリスク

高齢者の一人暮らしは増加傾向ですが、次のようなリスクが考えられます。
- 病気やケガの発見が遅れる
- 認知症の発症・進行の可能性がある
- 犯罪に遭いやすくなる
- 家事の負担が大きくなる
- コミュニケーションが減る
リスクを最小限にするためにも、起こり得るリスクを把握して対策することが重要です。まずは、各リスクを詳しく確認しましょう。
病気やケガの発見が遅れる
高齢になると身体機能が低下し、病気やケガのリスクが上がります。転倒による骨折や入浴中の体調変化など異変が生じても、離れて暮らしている場合はすぐに駆け付けるのは難しいでしょう。
もし、近所で交流があれば、知人が気づいてくれるかもしれません。ただし、一人暮らしの高齢者は近所付き合いや友人・仲間との交流が少ない傾向があり、総務省の調査では、3人に1人は交流を持っていないという結果が出ています。
出典:総務省「一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査」
そのため、社会的交流が少なく、家族も離れて暮らしていると、ケガや病気になった場合に発見が遅れる可能性があります。
認知症の発症・進行の可能性がある
高齢になると認知症になりやすくなり、前段階である軽度認知障害(MCI)を含めると、3人に1人が認知機能に関わる症状があるというのが現状です。
認知症になると、次のような初期症状がみられます。
- 同じことを何度も話す
- テレビの内容が理解できない
- 約束の日時を間違える
- 趣味に関心を示さなくなる など
同居していると言動の変化に家族が気づける可能性がありますが、一人暮らしだと難しくなります。周りが気づく前に症状が進行してしまい、火の不始末や徘徊(はいかい)などで事故につながる可能性もあるでしょう。
家族の認知症は身近な問題です。親が認知症になる可能性があるということも念頭に置いて考える必要があります。
犯罪に遭いやすくなる
近年では、高齢者を狙った犯罪があとを絶ちません。オレオレ詐欺などの特殊詐欺では、被害者の約8割が65歳以上の高齢者です。
具体的な特殊詐欺における手口別の被害者(男女別)の割合は、次のとおりです。
65歳以上の被害者の割合 (法人被害を除く) | 特殊詐欺全体 | オレオレ詐欺 | 預貯金詐欺 | キャッシュカード詐欺 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
22.3% | 56.0% | 19.3% | 75.2% | 8.5% | 90.2% | 14.0% | 85.2% | |
78.3% | 94.5% | 98.7% | 99.1% |
(注)特殊詐欺については主要なもののみを掲載しているので足し合わせても合計とは一致しない。
預貯金詐欺やキャッシュカード詐欺は100%近くが高齢者というデータです。また、男性よりも女性の方が被害に遭っていることがわかります。
高齢者は体力や理解力の低下により狙われやすく、窃盗や傷害事件だと命に関わる可能性もあります。
家事の負担が大きくなる
高齢になると体力の衰えにより家事の負担が増します。そして、料理が面倒になると栄養バランスが崩れ、病気につながる可能性もあるでしょう。
厚生労働省の報告によると、約40%の高齢者が弁当やお総菜を利用している一方で、配食サービスの利用は約4%と低く、栄養不足が懸念されています。
出典:厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会報告書」
また、掃除が難しくなると部屋が片付きにくくなることで、転倒や事故のリスクが高まるだけでなく、衛生面の問題から健康への影響も考えられます。
コミュニケーションが減る
一人暮らしの場合、必然的にコミュニケーションが減ることも問題です。家に会話できる家族がいないと脳が活性化せず、認知症のリスクが高まります。周囲との交流がないと孤独を感じ、活力を失ってしまう人も少なくありません。
また、高齢者は身体機能が低下しており、足腰の筋力低下などにより外出をおっくうに感じる人もいるでしょう。外出が減ると運動不足の一因となり、さらなる身体機能の低下という悪循環に陥る可能性もあります。
親の一人暮らしに生じるリスクへの対策

高齢の親の一人暮らしにはリスクがありますが、対策を取ることでリスクを抑えることは可能です。ここでは、親の一人暮らしに生じるリスクへの対策を解説します。親の希望や健康状態などに応じて、家庭に合った方法を選択するようにしましょう。
親が元気なうちに話し合い、情報収集する
まずは、親が元気なうちに将来を話し合うことが大切です。老後の過ごし方や不安を事前に共有することで、親の考えを尊重しながら準備ができます。
そのほか、親が普段送っている日常生活の情報も集めておきましょう。たとえば、食事やお風呂の時間、常用薬を知っておけば将来同居をすることになってもサポートしやすくなります。また、日常生活の悩みやよく出かける場所、趣味、コミュニティーを知ることで、会話の幅も広がり親がどのような生活をしているのか把握できます。
友人や近所づきあいがあれば連絡先を聞き、関係性を築けると良いでしょう。親の様子が気になるときに、力になってくれるかもしれません。
加えて、親の経済状況も確認しておきましょう。
介護や支援サービスを利用するにはお金が必要です。加入している保険や預貯金などの情報があると、何かしらサービスが必要となったときの支払いの可否や、家族の経済的支援の必要性を判断できます。
見守りサービスを利用する
親が心配でも、同居や近居が難しい場合もあるでしょう。
そのようなときは、離れた場所から親の安否を確認できる「見守りサービス」の活用がおすすめです。見守りサービスには、大きく5つの種類があります。
訪問型 | 定期的に利用者の自宅を訪問し、健康状態や生活状況を確認する。 |
---|---|
センサー型 | センサーを取り付けた家電が利用されたときや、センサーを横切ったときに安否を確認する。 |
カメラ見守り型 | 自宅内に設置したカメラを通じて、安否を確認する。 |
緊急時通報型 | 緊急時に小型の通報装置のボタンを押すことで危険を通知する。 |
宅配型 | 食事の配達と同時に、利用者の安否も確認する。 |
利用料金には、買い取りプランだけでなく、レンタルプランもあるため、毎月の負担を抑えられます。希望に合わせて選択すると良いでしょう。
デイサービスを利用する
デイサービスは、日帰りで施設に通う利用者に介護サービスを提供するもので、「通所介護」とも呼ばれます。
高齢者が自宅で自立した生活が送れるように、身体機能を維持するための機能訓練や、入浴・排せつなどの日常生活上のお世話を行います。
そのほか、利用者やスタッフとの交流を通じて社会的なつながりができ、孤独感も和らぐでしょう。一人暮らしの親の生活にメリハリも生まれます。
なお、デイサービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。申請先は自治体の「介護保険」を担当する窓口です。利用を検討する場合は、お住まいの自治体に相談してみると良いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅に住む
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者があんしんして暮らせるように医療と介護を連携して支援サービスを提供する民間賃貸住宅です。「サ高住」や「サ付き住宅」とも呼ばれます。
バリアフリー構造で、自宅と同じように生活しながら、安否確認サービスや生活相談サービスを受けられる特徴があります。
住宅によっては、家事代行や食事提供サービスなど独自のサービスを展開している場合もあります。事前にサービス内容を確認してみると良いでしょう。
見守りサービス「ちかく」なら離れて暮らしていてもあんしん

ドコモが提供する「ちかく」は、離れて暮らす家族をつなぐ見守りサービスです。Wi-Fiも設置工事も必要ありません。家型の端末とテレビをケーブルでつなぐだけで利用できます。
スマートフォンのアプリを開くと、親の在室状況が一目でわかります。親は、いつも使用しているテレビでテレビ電話ができるため、スマートフォンに不慣れでもかんたんに利用できます。
無料オプション「あんしんモード」では、アプリで親の在室履歴や睡眠時間などの生活リズムの変化も確認可能。設定した時間に親が起床しないと通知も届き、生活のささいな変化にも気づきやすくなるため、離れていてもあんしんです。
もし心配になったら親の操作無しでテレビ電話をつなぎ、部屋の様子を見ることもできます。なお、「あんしんモード」は親が許可した場合にのみ使用できるため、親も、勝手に部屋を見られるという心配はありません。
まとめ: それぞれの家族に合ったサービスであんしんの見守りを
高齢者の一人暮らしは増加傾向にあります。高齢者が1人で生活を送るとケガや病気の発見が遅れる、犯罪に遭うなどのリスクがありますが、それらの懸念点を解消するため、サービス付き高齢者向け住宅や見守りサービスなどの高齢者の生活を支えるサービスもあります。
サービスを上手に活用しながら、親の一人暮らしをサポートしましょう。
「ちかく」は、離れて暮らす家族を支える見守りサービスです。アプリで親の安否がわかり、万が一のときはテレビ電話を通じて部屋のなかを確認できます。機種をテレビとコンセントにつなぐだけで、テレビ電話が可能になるため、いつでも家族で会話を楽しめます。
「ちかく」なら、近すぎず、遠すぎない距離感で親を見守ることができるでしょう。