取り組み事例

顧客のLTV向上を目指すデータ活用法とは?
ファンコミュニティ×ドコモSolで、
ファンの拡張・循環サイクルを構築!

クオン株式会社

  • 募集テーマ:新規ファンの獲得やファンの育成に繋がる、ファンマーケティングソリューションの創出
  • 取材日:2024/08/02
クオン株式会社カスタマーサクセス一部 営業課 課長の中西一毅さん(左)、カスタマーサクセス二部  コンサルティング課 課長の松本彰さん(中央)、カスタマーサクセス一部 営業課の本間友子さん(右)

ドコモ マーケティングイノベーション部が取り組むオープンイノベーションプログラム。今回は「ファンコミュニティ」で企業活動の支援を行うクオン株式会社さまとの事例をご紹介します。ファンコミュニティの会員データとドコモが有する膨大なデータや広告ソリューションを掛け合わせることで、ブランド理解を促進し、ファンを増やすエコシステムの構築に挑戦。プログラム参加に至った背景から顧客PoC(実証実験)の成果まで伺いました。

クオン株式会社 中西一毅さんのプロフィール写真

中西 一毅 さん

カスタマーサクセス一部
営業課 課長

クオン株式会社 松本彰さんのプロフィール写真

松本 彰 さん

カスタマーサクセス二部
コンサルティング課 課長

クオン株式会社 本間友子さんのプロフィール写真

本間 友子 さん

カスタマーサクセス一部
営業課

  • オープンイノベーションで自社のデータやソリューションの価値向上にチャレンジ

    事業概要やプログラム参加について話す中西さん、松本さん、本間さん
    写真左より、中西さん、松本さん、本間さん

    ―はじめに、クオンさまの事業概要について教えてください。

    中西:「ファンコミュニティ」の構築・運営・コンサルティングを行っています。お客さまは、メーカー・メディア・金融・スポーツ関連などの企業・団体のほか、最近では官公庁や自治体関連からの引き合いも増えており、250以上のコミュニティを立ち上げてきました。コミュニティへの参加者数は、累計250万人を突破しています。

    そして、国際特許を含む特許技術を活用した独自のデータマイニングで、各コミュニティの“ファン化のメカニズム”を分析し、分析結果を顧客企業の各戦略に活かしていきます。用途は顧客企業の広告やプロモーション、ブランディング、商品開発、経営企画など多岐にわたります。

    ―プログラム参加の決め手を教えてください。

    本間:まずはプログラムの募集テーマが「新規ファンの獲得やファンの育成につながる、ファンマーケティングソリューションの創出」で当社事業との親和性がピッタリだったことです。それに加えて、ドコモの持つデータやマーケティングソリューションを活用することで当社の有するデータの価値をさらに大きく引き上げる可能性があること、それが一番の決め手でした。

    当社が構築・運営するファンコミュニティでは、心理的安全性が担保されることで表出する心の情報、すなわちファンの生の声がデータとして蓄積されるので、WHY=行動の理由がわかります。

    そこにドコモが有する属性データやオフライン・オンライン行動データ等の多種多様なデータが掛け合わされば、ファンの解像度がグッと鮮明になります。「どんなファンが、何を感じ、何を望むか」という顧客インサイトが明確になり、より効果的な施策やユーザー視点での商品開発が可能で、クライアント企業の課題解決に貢献できると考えました。

  • 両社の既存アセットを掛け合わせた顧客PoCを早期に実現

    パソコンの画面を見せながら話す松本さん

    ―では、プログラムでドコモと一緒に取り組んだPoCについて教えてください。

    松本:当社の既存クライアントである食品メーカー、A社・B社の2社にご賛同いただき、それぞれのコミュニティの活性化とファンの解像度向上に向けた施策を実施しました。A社においては、以前から「単純な市場調査では拾えない、顧客の定性的な声を商品開発に活かしたい」というご希望がありました。B社は、主に「ロングセラーブランド商品のコミュニティ活性化」の目的でPoCにご協力いただきました。

    まず両社とも「dポイント」をインセンティブとしたキャンペーンをコミュニティ内で実施し、併せて、ドコモの広告配信ソリューションを活用することで、新規のユーザー獲得や既存ユーザーの活性化に取り組みました。

    これにより、ブランドのファンであるけれど、まだコミュニティの存在を知らないユーザーや、ブランドのライトファン(ファン予備軍)の方のコミュニティ参加も確認できました。A社においては、「コミュニティの新規登録者数は、過去の施策の中で最大級の増加」という結果を残せています。あらためて、インセンティブとしてのdポイントの強みを感じましたね。

    ドコモとのPoC概要 ①ファン化したユーザーを分析し、ターゲットを選定→②広告配信&dポイントでコミュニティ認知/参加を促進(市場)→③ユーザーがコミュニティに参加→④コミュニティデータとドコモデータを掛け合わせ、ファンの解像度を上げる→⑤掛け合わせたデータで広告の最適化→②に戻る

    そして今回のPoCの要が、ドコモが保有するデータとコミュニティ会員IDの紐づけです。9,700万以上(2024年7月末時点)の会員数を有する「dポイントクラブ会員」をベースにしたウェブサイトの閲覧履歴や位置情報、購買履歴などのデータに基づく統計データを利用し、コミュニティユーザーのプロファイリング分析を行いました。

    これにより“一般的な生活者とコミュニティ参加者(ファン)の価値観の違い”の明確化に成功し、定量×定性による唯一無二のデータを生み出せました。

    例えば、B社のコミュニティなら「市場よりも野球ファンが多い」といった分析結果が出ていて、今後、観戦チケットのプレゼントキャンペーンや、球場でのイベント実施といったプロモーションも考えられます。どんなメッセージを訴求していくと効果的なのか、コミュニティのデータから見出していきたいですね。

    ―今回の成果の要因は何でしょうか?

    本間:ドコモからの丁寧なサポート体制につきます。まず、キックオフミーティング時の印象から、ともにプロジェクトを進めていただけるパートナーとして頼もしさを感じました。クライアント企業さまへの提案準備はもちろん、実際のご提案時も同席いただき、当社では回答できない質問にもご対応いただきました。

    諸事情により、どうしてもキャンペーンの実施期間を後ろ倒ししなければいけないことが判明した際には、PoC期間の延長を決定いただくなど、クライアント企業さまを第一に考えてサポートいただけたことがありがたかったですね。

    「dポイントのインセンティブ活用」や「ドコモアドネットワークを活用した新規会員獲得」、「コミュニティ参加ユーザーのプロファイリング分析による解像度向上」といった一連の施策も、ドコモ側から情報提供をいただくことで実現に至りました。常にクライアント企業さまの目線を大切に協議を重ねてもらえた印象です。

  • プログラムで見出せた、
    ファンの「拡張・循環」サイクルと今後の展望

    笑顔で立っている中西さん(左)、本間さん(中央)、松本さん(右)

    ―今後、ドコモとの協業で実現したいことについて教えてください。

    中西:先ほど松本が申し上げた通り、今回のPoCで唯一無二のリッチなデータが取得できることがわかりました。しかし、詳細な分析、活用法の立案はまだこれからです。

    今後、さらに「ファン化に影響を与える顧客の声とドコモの位置情報データを掛け合わせた広告展開」や「購買データとの統合分析による顧客インサイトの深掘り」など、長期的な取り組みでより大きな価値創出を目指していきたいですね。

    ファンコミュニティの充実は、「ファンの拡張・循環サイクル」を構築していきます。ブランド理解を深め、ファンを増やし、そこから抽出した特徴やファン化を促進させる声をコミュニティの内~外に循環させることで、自然にさらなる拡張が見込める。非常にエコなシステムと言えます。

    ―最後に、プログラムに参加した感想について教えてください。

    中西:当社だけでは成しえない大きな成果を創出できる、そんな可能性を感じる素晴らしい機会をいただけたと思います。また、こうした協業を通じて創発的なコラボレーションを起こすには、双方が信頼しあいコミュニケーションを円滑に図ることが重要です。その点からも、ドコモの皆さまと強いワンチームになれたことが、何より大きな成果だと感じております。

    松本:あらためて「ドコモデータ×コミュニティデータによる付加価値創出」の可能性を感じました。コミュニティで得られた情報が、開かれた外の世界のデータとつながり、大きなシナジーを生み出す。そしてそのシナジーが、顧客へのサービス提供価値につながっていく。個人情報の規制もあって、ともすれば閉塞感もあるデジタルマーケティングの領域で、今回のPoCを通じて光を見いだせた、貴重な機会になりました。

    本間:ドコモが保有する多くのソリューションやデータとサービスを掛け合わせたPoCを実施したことで、今後より多くの企業さまにさらなる価値をご提供できる将来像を描くことができました。チームの皆さまには大変なご支援をいただき、新たなソリューション創出に向け日々コラボレイティブに議論させていただいたことも、重ねて感謝申し上げます。ありがとうございました。

クオン株式会社

クオンは、企業・自治体と生活者をつなぐオンラインコミュニティの構築と運営・コンサルティングを行う会社です。1996年の創業以来、累計250超の企業や自治体のファンコミュニティを手がけ、国際特許を含む複数の特許技術を用いたデータサイエンスを駆使し、生活者との関係構築や課題解決、持続的発展を支援しています。

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(公開:2024年10月)