ハプティクス

ハプティクス(Haptics)とは、ユーザーに力や振動、動きといった刺激を与えることで、リアルにモノに触れているような感触を得られる、皮膚感覚フィードバック技術です。触覚提示技術や触覚技術(haptic technology)とも呼ばれています。

ハプティクスとは

ハプティクス(Haptics)とは、ウェアラブルデバイスなどを装着したユーザーに、力や振動、動きといった刺激を与えることで、リアルにモノに触れているような感触を再現する皮膚感覚フィードバック技術です。触覚提示技術や触覚技術(haptic technology)とも呼ばれています。

ハプティクスの歴史

ハプティクスは、当初携帯電話のバイブレーションなどシンプルな通知機能として使われていました。
しかし、近年の技術進歩により、デバイスやシステム装置の振動パターンを精密に制御できるようになり、映像や音声だけでは伝えられなかった”表面のざらつき”や”圧力の強弱”などの触感の違いや圧力、素材の質感までリアルな触感を再現できるようになりました。今後はXR(VR/AR/MR)とかけ合わせた利用により、より没入感の高い体験を提供できるようになると期待されています。

ハプティクスとXRの関連性と活用分野

ハプティクス技術は、XR(VR/AR/MR)と組み合わせることで、仮想空間での触覚体験をよりリアルにし、操作性や没入感を向上させることが期待できます。次に、ハプティクスとXRとの関連性、具体的な活用分野を紹介します。

VR(仮想現実)×ハプティクス

VRでは、ハプティクスによる触覚を加えることで、より現実に近いバーチャル体験が可能です。以下のような分野でVRとハプティクスが融合した技術が活用されています。

ゲーム・エンターテインメント

VRコントローラーやグローブ型デバイスを通じ、ハプティクス技術が武器の反動や物体の質感を再現し、没入感を向上させます。VRの普及によってゲーム業界ではさらにリアルな体験が求められており、より高度で繊細なハプティクスの開発が進んでいます。

3D映画などのコンテンツでは、映像に合わせてVRとハプティクスによりリアルタイムに視覚と聴覚、触感を再現します。より臨場感や没入感のあるコンテンツを視聴者へ提供できます。

モビリティ分野

自動車のナビゲーションやステアリングスイッチに目線を落とすことなく確実に操作できるブラインドタッチ機能に、ハプティクス技術が活用されています。

トレーニング・シミュレーション

操縦訓練やスポーツトレーニングなどの分野ではVRが導入されていますが、ハプティクスを融合させることで触覚面でも現実に近い操作性を得られます。たとえばVR飛行訓練などのトレーニングでは、VRとハプティクスにより実際の操縦感覚を得て、手応えをフィードバックすることで、実践的な学習支援につなげています。

福祉・看護・介護領域

位置や姿勢が変化する人間を適切に介助するために、VRとハプティクス技術の応用が期待されています。瞬時に力触覚を伝送するハプティクスにより、介助者の負担を軽減し被介助者に無理な姿勢を強いない技術や、優しくていねいに介助ができるロボット機器の開発につなげています。

AR(拡張現実)×ハプティクス

AR技術とハプティクスを組み合わせることで、、デジタル情報に物理的な感触を加えることができます。おもに以下の分野でARとハプティクスを融合させた技術が活用されています。

広告・マーケティング

触覚フィードバック付きAR広告などでスマートフォンやARデバイスと連動し、バーチャルオブジェクトに触れる体験を消費者へ提供しています。

医療・リハビリテーション

手術シミュレーションやリハビリ支援では、ARとハプティクスによる触覚をともなうフィードバックを活用し、治療の精度向上に貢献しています。

その事例のひとつが、遠隔操作のロボットを使った手術の研究です。触覚情報を取得するための触覚センサーや、患者や縫合糸などの手術材料が指先に接触していると外科医に認識させる触覚ディスプレイが搭載された患者側ロボットの導入が進められています。ARとハプティクスにより、遠隔での手術時でも外科医は機械を操作しているのではなく、自分の手が患者に触れているように感じられるようになります。多くの大学や企業が中心となり、力触覚伝送をする医療用デバイスやコントローラーなどの治療機器開発や技術研究が進められています。

MR(複合現実)×ハプティクス

MRとハプティクスを組み合わせるとデジタルと現実の相互作用が強化され、より直感的な操作や作業を可能にします。

遠隔作業・メンテナンス

建設分野や産業機器分野では、建設機器の遠隔操作時にMRとハプティクスを利用することで、遠隔操作時も作業者にこまかい指示・作業内容を伝えられます。作業者もロボットアームを操作しながら触覚フィードバックを受けることで、作業精度が向上します。工場等、周囲の振動や騒音が多い現場でも、安全なオペレーションを実現可能です。

製造・デザイン

触覚付き3DモデリングにMRとハプティクスが活用されています。MRによる仮想プロトタイプを、ハプティクス技術により触りながら評価できるようになるため、製品開発の効率化が実現できます。また、リアルな触感が得られるため、ベテラン職人の技術継承や新人教育・訓練への活用やシステム構築に活用されています。

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